無視かよ!と喚くユーリを更に無視し、メディンはルシイルを突き出した。

機嫌の悪そうな赤ん坊はユーリの手を掴んでそちらに行こうとする。


「ルー、待っててってば。ちゃんと帰って来るからさ!」

「うー」

「ルーのお母さんお父さんにも落ち着いたら会わしてあげるからねーっ」


ひょっこり顔を出しよしよしと頭を撫でたイル。

膨れっ面したルシイルは結局老人に抱きすくめられて大人しくなった。


そして、それを確認したアレンが挨拶もほどほどにイルとメディンに目配せする。



「はいはーいっ」

「了解じゃ」


一ヶ所に固まった六人、そこに杖を向けるメディン。

ルシイルは見送り組のクナルに預けられ、リルや双子はきょとんとして自分たちの片親を見つめた。



「イルぅ気付けろよぉ」

「うんっギルクは留守番よろしくね♪」


最後に謎の抱擁をかわした夫婦を一瞥し、メディンは軽く杖を振った。

同じタイミングでイルも杖を出し、それをかざす。



「「《移動魔法》!!」」



二人の冷たい空気の庭園によく響き、直後その場が眩い光に包まれた。

かと思うともうそこにあるのはただの地面のみ。