(謝ろう、謝ってちゃんと言おう)


もう十分格好悪いし、自分をよく見せようとしなければならない薄っぺらい関係でもない。


だったら少しでも早く彼女が待っている言葉を伝えようと、アレンは真っ先にレイの部屋に向かった。

しかし扉を開けてみれば、明かりもついていないし誰もいない。


(あれ…)


それなら執務室か、と部屋の真ん中まで来てからUターンする。

した、ところで何かが目についた。



「…………あ…」


もうあまり使わない淡い水色の布団のベッド。

その脇に、小さな白い箱。



「…………………。」


傍まで歩み寄って、アレンはその場に座り込んだ。

一人で真っ赤になってそれを手に取る。


(まじでダサい…、てか恥ずかし…)


後悔と羞恥でどうにかなりそうだ。


ぱか、とそれを開ける。

中にはまた白い箱。


それを開ければ、正真正銘自分が買った小さな指輪。



「…………………。」


赤いままそれを眺め、それから溜め息をついたアレンは微かに笑った。

これを見た彼女の反応が何となくだが思い浮かぶ。


きっとまた泣かせたんだろう。

それでもこうやって大事にとっておいてくれている。



羞恥はいつの間にか愛しさに変わっていた。