アレンはそれを確認すると、今度は両手を前に突き出した。
するとそこに光が集まっていき、ギュッと拳を作ると呪文を唱える。
「…《氷撃魔法》」
仕上げに小さく囁くように言い、彼は片腕を後ろに回した。
拳は纏う金色の光を増していく。
そして──…
「……《放》!」
アレンがそう短く言った瞬間、彼の開かれた両手から氷柱が四方八方に飛び散った。
それらは確実に先程攻撃魔法が飛び出してきたところを狙っている。
「うひえぇええ~ッ!」
氷柱がぶっ刺さる前に、妙な悲鳴と共に茂みから何かが慌てて逃げ出した。
頭を庇い、逃げ回るそれは金髪の少年。
それを面白そうに見ながら、樹の影から老人も出てきた。
しっかり結界を張り氷柱は弾いたようだ。