ブンブン頭を振って否定するレノディアに、ハルアは豪快に笑う。

それを見たジゼルは首を傾げて隣のアデルと目を合わせた。

相変わらず一言も話さないアデルは、ジゼルからハルアに目を移し少し眉を潜める。


「ねぇ、本当に皇居なんかに行っちゃって大丈夫なの?」


アデルの意思を汲み取ったのか、ジゼルはそう訊ねるとハルアの腕を引いた。

視線を落としたハルアは双子を目にすると微笑み、しゃがんで目線の高さを同じにする。


「ふふふー、ジゼルは大丈夫だと思う?」

「えー、…わかんねぇよぉ」

「アデルはー?」

「……………………。」


ふるふると横に頭を動かし、アデルもわからないとハルアに伝えた。

しゃがむ女性の後ろで「ハルアがおかしい」と気味悪がっていた男二人は、見事に彼女から軽い魔法攻撃を受けひっくり返る。


「大丈夫よ。だってアイツだもん」


ハルアはそう言うと悪戯に笑った。

それから人差し指でジゼルの額を小突き、言う。


「アレンの正体、知りたい?」

「…アレンの?」

「そう。アイツの、正体」


やけに面白そうに言うハルアに、グロアとルネは顔を見合わせた。

それからグロアの方が小さく吹き出し笑い出す。



そしてその後、その場から30人の集団の叫び声が一斉に森に響いたのだった。