「え?アレンは??」


グロアがきょとんとしながら訊く。


「…俺は用事があるから」


少し目を逸らしたアレンは、また同じところへ目を向けた。

その動きにグロアは何があるのかを悟る。



「そっかぁ。でも後で来るでしょっ?」

「…ん」

「わかった!気をつけてねっ」


ニコッと笑ったグロアは、そう言うと何度目かの敬礼をした。


アレンは頷くと集団皆を見渡し、「いってくる」とだけ呟き踵を返す。





「…行っちゃった」


頼りにしていた青年の背中が見えなくなってから、レノディアは少し不安そうに囁いた。

その隣で銀色の瞳のエレス族の男、リディルが無言で彼の肩を叩く。

大丈夫だとでも言いたいのだろうが、自分も不安そうな顔をしていては効果半減だ。


そんな情けない男二人の背後で、得意気な顔をした女がバッと両手を上げた。


「っなぁーに、辛気くさいツラし、て、ん、の、よっ!」

「痛っ!叩くなよ!ハルアは怪力なんだから…」

「か弱い女のコが怪力なワケないでしょ!ぶっ飛ばされたいの?」

「いいえ滅相もない」