「国王ねぇ…確かにアンタ偉そうだもんね」


森へ向かいながら、ハルアはそう溢してニヤニヤ笑った。

それを綺麗に無視してアレンはゆっくり歩く。


そんな反応にハルアはやっぱり怒り出した。


「また無視!?アンタ何様よ!…あ、王様だっけ」


「……………………。」


ちら、と哀れみの視線を向けるアレン。

なんだか騒がしい彼女にギルクを思い出し、懐かしくなって少し笑ってしまった。


それを見たハルアは度肝を抜かれたような顔をする。


「笑った!仏頂面が!!」


「…うっさい。笑っちゃ悪いか」


「別に悪いとは言ってないでしょ。お姉さんは心配してあげてたの!」


そう言ってふんっとそっぽを向く“お姉さん”のガキな仕草にアレンはまたも呆れた。

違う方向を向いたままこちらを見ないハルアに、溜め息混じりに言う。


「…心配なら自分のをしろ。疲れてんなら喋んな」


「!」


ピク、と女性特有の丸みを帯びた肩が揺れた。

魔法を解いたためにまた黒い服のハルアは、視線をアレンに戻し眉を潜める。


「疲れてる?誰が。アンタでしょ」


「…俺はお前とは体力が違う」


「自分だって何週間か動いてなかったくせに。よく言うわ」


「……………………。」