何で、そう思う前に答えがわかった。


(…俺を、探しに来たのか)


きっと悪魔の仕業だと気付いたに違いない。

だったらやはり、さっきの魔力は。



「…皇帝」


アレンは今一度向かい合う男性に声をかけた。

勇者の改まった雰囲気に、皇帝の方は真剣な眼差しで答える。


「…急な話なんですけど、しばらくこちらに30人程置いてもらえませんか」


「30人?一体何だい、その集団は」


「ジスカルの脱獄衆です」


「は?」


アレンの言葉にシンク皇帝は目を丸くした。

ダリアナ后妃は面白そうに口元を吊り上げる。


「一日だけでいいんです」


二人の反応もそこそこに、アレンは早口でまくし立てた。


…自分の臣下たちが他国で暴れまわっているなど、理由が何であれ言語道断。


申し訳ないやら何やらで頭が痛くなってきた気がする。



「…いや、それはいいけれど…。まさか君が逃がしたのかい?」


信じられないというような問いに無言で頷き、アレンは静かに即答した。


それを見た后妃は興味深そうに彼を見つめる。


「やられっぱなしは趣味じゃない、ということじゃな。侮れん奴じゃ」


「……………。」