「……わかったわ。着いていく」


ぼそりと呟いた彼女に、アレンは少し安心した。


(…これ以上面倒事はごめんだ)


この反抗的な女を放っておいたら、何をしでかすかわからない。



…ハルアの方が年上なのだが。






──…それからしばらくして。



一行は森の出入口だという場所まで無事辿り着いた。


…途中爆音や悲鳴は何度も聞こえたが。


そして、グロアやルネ、レノディアらを残してアレンとハルアは森から首都に向かう。



「こんな綺麗な服着たの久しぶりだわ」


自分の魔法で身なりを整えたハルアは、そう言うと少し前を歩くアレンを見上げた。


彼も同じく魔法をしたのだが、その服装が気になる。



高級そうなスーツの上に、──…赤いマントのようなハルアにはよくわからないそれ。



「…アンタ、その服なに?」


「あ?…何って、正装。冬バージョン」


「そんなこと訊いてるんじゃないわよ!」


普通に答えたアレンにハルアはまた苛々する。


アレンはカルシウム足りてないんじゃないか、と隣まで走ってきた彼女を見ながら無言なりに思っていた。



しかしその無言がまた何故か彼女を怒らせたらしい。