「…グロア、森からの出方はわかるか?」


「うんっ!ご案内しまぁす♪」


訊ねたアレンに元気よく答え、グロアは敬礼すると歩み出した。


それに着いていきながら、アレンはふと争いが起きているであろう方向に目を向ける。



(…まさか、それはないよな…?)



さっきからかなり気になる。


なんてったって、ある筈のない魔力を感じる気がするのだ。



「…なぁ、アレン…君?」


エレス族だという蒼い瞳の青年──レノディアが、難しい顔して考え込むアレンに話しかけてきた。


顔を上げたアレンに遠慮がちな目を向け、彼は爆音が聞こえる方向を指差す。



「なんかさ、…悪魔と天使以外の魔力も感じない?」


「………………………。」


「僕は長いことあそこにいたからこれが何の魔力かはわかんないけど。…アレン君、わかる?」


「………………………。」


レノディアの言葉にアレンは無言を突き通した。


しかしゆっくり、こっくり頷く。


それに表情を明るくしたレノディアとは正反対に、アレンはめちゃくちゃ複雑な顔を見せた。



「………し、」


「うん?」




「………精霊士、の魔力だ」