「……隠し扉か」


「ピンポーンっ、正解っ!まぁ見てて♪」


呟いたアレンに上機嫌に言うグロア。


外に出られるのが嬉しいのか、やたらとハイテンションだ。


彼女は壁に手を触れそれを見上げると、いきなり背中に黒い羽根を出した。


バサッと広がるそれに、改めてグロアが悪魔だと言う事実を認識する。



そして彼女は、何やらブツブツとアレンやハルアらの知らない言葉を連ねだした。


何を言っているのかわからぬまま、一行は集中している少女を見守る。



やがて彼女は手をスッと壁伝いに下ろし、ニッコリ微笑んだ。


その瞬間、小さな細い手が辿った場所に灰色の光が溢れる。



「わ…」



そこに巨大な扉が現れるのは、本当に一瞬の出来事だった。


ジゼルが感嘆の声をあげると、グロアは振り返りアレンを見上げる。



「はいっ、完了♪けどこれ開けたらジリル様には気付かれちゃうと思う。だから早く行こっ」


「…ん、ありがと」


目を細め、優しく返した勇者。

グロアは少し頬を染めた。



「う、うんっ!ほらほら、早くっ」


「はいはい」


苦笑しながら少女に促され扉を潜る。


グロアはアレンの後ろ姿を見つめ、それから嬉しそうにクスッと笑った。