玄関に着いたときには、何故だか青年が少女を肩車していた。


きゃあきゃあ嬉しそうなウリナをそのままに、ギルクは外と中を隔てる扉を開く。



「お待たせさん…、って、お?」


意外な客の正体にギルクは目を丸くした。


お客さんの方はウリナと戯れるギルクに静かな笑顔を向け、こんにちは、と挨拶する。




「エニスにユナル…?」


「うん。その子が子供かしら?」


「ちげーよ!でかすぎるだろ!!」


ボケたユナルに鋭くツッコみ、ギルクは思わず叫んでしまった。


激しいそれにユナルは楽しそうに笑う。




「もしかしてお祝い来てくれたのかぁ?」


赤い髪を「義理妹でぇす」と名乗ったウリナに弄られながら、眼鏡男子エニス君にギルクは訊ねた。


基本アレンと同じで無口な彼は、「それもあるけど…」と少し困った顔をする。



「? まぁいいや。入れよ、イルん家だけどな」


「あたしもだよ!だから入っていいよっ」


「ありがと、お邪魔します」



元気よく言ったウリナに微笑み、ユナルが少し頭を傾げた。



腰まである長い髪がさらりと揺れる。




そのまま四人は、シーア家のリビングに揃って入っていった。