「おぉ、そりゃ助かる!」
ミュリエルの言葉にルティが大喜びし、彼女の肩をバシバシ叩いた。
大天使は痛いわよぉ、とか言いながらも常に笑顔を保っている。
しかしそんな天使に全く反応せずに俯くレイを見ると、彼女はコロリと表情を変え心配そうに精帝を眺めた。
その視線に気付いたレイが顔を上げると、頭を撫でて「よしよし」と微笑む。
「心配よね。大丈夫、私も手伝うから。あなたたちよりは悪魔に詳しいはずよ」
「……えぇ」
「……ちょっと、あっちでお話しよっか」
浮かない顔をするレイの肩に、ミュリエルはさりげなく手を回した。
それからルティに「ちょっと失礼~」と一声かけ、少女と二人で歩き出す。
「さすがミュリエル、気がきくな」
「何気に気配りが上手いからのう、あの子は」
「…リディンより年上だろう」
「見た目は“あの子”じゃ」
そう話すルティとリディンは、リルムが怪訝そうにレイとミュリエルを見ていたのに気付かなかった。
眉を潜めたリルムはユーリに話しかける。