「いいかの。勇者がいない今、指揮をとるのは側近のお前じゃ、マケドニス」
「…はい」
「イルちゃんにもギルクにも頼めない。あの二人の今の幸せを壊すわけにはいかないからのう。
限られたメンバーでアレンを救わねばならぬのじゃ」
「わかってます」
力強く頷いたマケドニスに満足そうに笑い、メディンはすぐにまた真顔に戻った。
今度は誰に話すともなく、しかし皆に聞こえるように話す。
「困難なのは居場所を掴みそこに向かうことじゃ。
アレンが悪魔に連れ去られたという確信が持てたとして、そうしたらジスカルにいる可能性が高い。
じゃがそうだと問題があるのじゃ」
『問題?ジスカルに行けばいいだけの話じゃないですか』
老人の話にシリティーが首を傾げた。
コニスとクナルもわからない様子だが、他のレイ達は眉を潜め難しい顔をしている。
そんな中リディンがわからない三人の為に口を開いた。
「ジスカルってのは東大陸の地下深くにある国じゃ。東大陸はただでさえ魔力が渦巻いていて移動魔法が難しい。
そんなところの地下じゃぞ。しかも未だ悪魔以外にその入り口は知られていない」
『……わお、絶望的だね』