――…ザアアア、と雨が大降りになる。


屋根に水滴がぶつかりリズムを刻み、時折雷がゴロゴロと鳴る中、エルフの森の外れにある大きな家では――…




「全く…まだかい!?遅すぎるわい!」



老人メディンは妹とエルフの家族と幼い子供たちと、ひたすら外を眺めるというより凝視していた。


そわそわとせわしなく動き騒いでいるのはリディンその人。



我慢出来ずにソファーに座ったり歩き回ったりして、全く落ち着きがない。



…なんだか前にもこんな彼女を見た気がする。




「ねぇ…どうしたの?何があったの…?」


子供たちはみんな寄り添い合ってビクビク震え、ルティの仲間であるメイとサクラを見上げた。


二人は顔を見合わせると子供たちを宥める。



「まだわからないのよ。もうちょっと待ってね」


「すっごくおっきい魔力が何回も…。あれは誰の魔力なの?」


「あらリルムちゃん、魔力を感じたの!?」


「ルルアンもよ」



リルムは不安に揺れる目でルルにしがみつくルルアンを指した。


エルフの子供は真っ青になって震えている。