近付くなり皮肉を言われ、アレンは少しむすっとしながら訊ねた。
…レイといれなくなったから、というのもあるだろう。
それを見通し笑う使用人は、一度真顔に戻りこう伝える。
「教皇様から連絡がありました」
…その言葉に自分も真顔になるアレン。
「連絡…?何て??」
「こちらに来てほしい、とのことです」
「俺だけ?」
「はい、皇帝様達は呼ばれていません。
渡したいものがあるらしいです」
使用人の報告に勇者は眉を潜めた。
渡したいものなど、送ってくればすむ話なのに。
「…まぁいい。来週、リルム達も一緒にルルアンの家に行くから…。その時に寄るって伝えとけ」
「そういえばあの子そんなこと言ってましたね。わかりました、連絡しておきます」
仮にも教皇様のところに『寄る』なんて言っていいのだろうか。
この場にニーナがいたらさぞかし怒ったことだろう。
しかしこの二人はそんなことには一切触れず別れてしまった。
…恐いものなし同士はある意味危ない。