「お呼びですかジリル様」
しばらくして先程の青年と全く同じ言葉を口にし、今度は妖艶な女性の悪魔がやってくる。
ジリルは彼女を見上げ手招きをして、自分の目の前に歩いて来させた。
「いい話がある、ディルネ。あと今はいつも通りでいい」
「わかりましたわ、お父様。それで、いい話とは何ですか?」
ジリルをお父様と呼んだ女性、ディルネは首を傾げて微笑んだ。
それを見ながらにやりと笑い、悪魔の王は唇を動かす。
「いいモノを見つけたのだ。我のモノにするが普段はお前に任せよう」
「まぁ、何を見つけましたの??」
「天使共への復讐に役立ち、尚且つお前の気に入るモノ」
ジリルはそう言うと傍にあった果物を取り、一口だけそれをかじった。
それからディルネに残りをやり、いつのまにか現れたコーヒーを飲む。
「お父様ご機嫌ですわね。そんなにいいモノなのかしら?」
「あぁ。この上なく極上だ。お前を満足させてくれよう」
コーヒーを飲み干し言ったジリルは、笑みを深くさせると最後にこう呟いた。
「きっと、長い争いにも決着が着くぞ。
勝つのは我ら悪魔らだ」