「お久しぶりです、りささん」
「お久しぶり。こんな時間に小田急って事は、やっぱりまだ山葵で頑張っているの?」
「ふふ…金払いがいいですからね
(りえさんが邪魔だけど)」
「()つけても口に出ているわよまりちゃん。相変わらずね、その癖」
「いや、お恥ずかしい…」
人もまばらな小田急に
春風がひゅうと吹き抜けては
そのたび桜の匂いがした。
「…まりちゃん、やっぱり綺麗ね」
「…りささん、アイボンをお勧めします」
「いえ角膜は汚れていないわ、私が言っているのはあなたの心の方よ」
「心…?」
と私は聞き流しながら、
内心(やれやれ、褒め称えた後に金の算段だろぉ?)とあきあきしていた。
「まりちゃん、出てるわよ」