「なんとなくだけど…分かるかもしれねーな…俺もアイドルなんて言われて
勝手に虚像作られて…
そのうち
本当の俺がわからなくなって…

だから今日も逃げて来たんだ」

そう語る太郎は眼差しは少しばかり寂しそうだった。

「そっか…」

私は小さく、それだけ呟いた。


漸く西館に着くと
二人で部屋の場所を確認しあった。

太郎は西側5階、私は西側2階のはずれであった。

「遊びに来るか」と太郎はにやりと笑ったが、私は ふんと一蹴して鼻毛で笑ってやった。

太郎「毛つけんなよ!」