「…なぁ…なんであんた偽名使ってるんだ?」

今日の部屋に向かう途中、
偶然かなにかで同じ方向になった私たち、
名付けてチーム太郎と道産子。

太郎「おまえ子しかあってねーよ!花子だろ花子」

私は一呼吸おいて、静かに唇を動かした。

「…私、ずっと歌舞伎町でさなぎをしてきて、本当の私の名前もどんな子だったかも忘れてしまって、
それで大切な人に…ひどい事を言ってしまったの…その大切な人は…自殺してしまったわ…」

太郎は急に神妙な面もちになる。
時折何かいいたげに唇を開くが、私は構わず続ける。

「私は探してるの。
その大切な人が探してたものを。
そこに多分、本当の私もいると思うから

偽名を使ってるのも本当の私じゃないからよ。あなたには今花子に見えてるんでしょうけど、本当の私は違うかもしれないわ」