バスに揺られて日光市内へ向かえば
人の活気には
むんむんと熱気すらあった。
「ふぅ…なにかご飯でも頂こうかしら…」
「きゃあああああああああ」
後ろで絹を裂くような 女の悲鳴。
「何事か!」と振り返れば
「ひったくりー!!!!!」
と喚いている。
そう言われれば
確かにこちらに走ってくる
急いだ様子の男。
「どけどけー!!!!!!!!」
怒声には慣れているので
私は男の前にぬらりと立ちはだかり
みぞおちに優しく…
ドカっ
犯人はふらりと倒れ、
そして誰かが呟いた。
「…おい犯人失神してんぞ」
「鬼だ…」