「ここは徳川家康公を祀った神社でね、かの松平容保公も余生はこちらをお守りなさったんですよ」
「…かた…つむり…公?」
「いやいや
聞き間違いどころか一文字増えてますけども。幕末の頃の会津藩主ですよ」
学のない私も幕末くらいはよく存じている。
確か最終的に新政府対奥州連合で争いになって新政府側が勝利したのだと、かろうじて覚えている。
「ひどい話じゃありませんか…ただ真っ直ぐに江戸幕府を守っていたはずが
立場が悪くなったら
とかげのしっぽきりのようにきられて
新政府との争いで結果会津藩は壊滅…
容保公も全くお顔つきが変わられて…」
「さぞ…苦しかったでしょうね…」
大儀を重んじて戦を選び
そしてたくさんの人が会津では死んだと住職は言った。
私なら
大切な人を、自分が殺してしまった…
そんな風に思ってしまったかもしれない。