朝日がゆらゆらと私の部屋を照らして
気がつけば私はまた一人になっていた。

確かに耳元に優しい感触を残して、
その声はやがて止んだ。

漸く本当に一人ぽっちになった
私の手には一枚の紙が残った。

パンドラの箱に残った最後のあれのようにも、もしかすると地獄への招待状のようにも見える。

「りささん…天国ってあると思う?」

空っぽの部屋でぽつりと、私は笑う。
もう涙は枯れ、瞳だけはまっすぐに空を捉えた。

私の足はすたりと角度をつけて立ち上がり、両手は押し入れから小ぶりのボストンを取り出した。

「行くね…私」

私もあなたも東京じゃ見つけられなかった、

天国とやらを探しに―。