「あらら!鍋が焦げちゃう!ちょっと!まりちゃんちゃんと寝てるのよ!私おじやは初めてでうまく出来てるか…」

「りささん…」

涙が止まらない。

「私のせい…だね…」

「え?」

りささんはきょとんとして目を開く。

「りささん…
私…豪徳寺駅に確かに行ったのよ。
私の足で…」

りささんの顔は
だんだんと俯く風になっていく。

「まりちゃん…何を…」

「あなたは!!!!!死んだはずでしょう!!!下北沢で身を投げた!!私は…私の…せいで…」

この世には 天国なんかないんだ と、

私が告げてしまった。

あんな疲れた風に、でも それでも
天国に夢を馳せていたあなたに―。

「りささん…ごめんなさ……」

「そうよね…あんたが…天国はないって教えてくれたのよね…」

りささんの声は気づけばおぞましいトーンに変えられていた。

「一緒にいきましょうよ、地獄へね」

真っ白な瞳をした化け物が目の前で笑っていた。


ハッ


私はあの日からこうして朝を迎える。