「俺ら両思いだったんだよなぁ・・・。」
帰り際に泰嘉が言った。
「そう。だね。」
「付き合う?」
”付き合う”あたしはこの言葉に
やたらと罪悪感を感じた。
けれど、
教師と生徒の関係を越えてしまった
あたしたちの辞書に
”付き合わない”の文字はどこにも無かった。
2人は手を振り、付き合って初日を終えた。
帰り際も、学校の生徒がいないか要注意しなくてはならない。
「先生♪」
泰嘉はあれから、毎日のようにテニス部に来る。
「バレルかも知れないから辞めなさい。」
あたしは小声でつねにささやく。
そんなやりとりが、生徒と教師の関係を忘れさせてしまっていた。
この姿を羨む者がいろうともしらづに・・・。