アキラの言葉が脳裏を過ぎる。


ーーそれにしてもあのインテリが生徒と不倫してるって噂は聞いていたけど、まさかその相手が篠田だったとはな。あいつらチューしてたぜ、チュー。


「冗談だろ…」


信じられない。


「相手が違うだろ」


分かってる、と涼子は言った。


「でもあの時はどうしたらいいのかわかんなくて…だから」

「だから斎藤の言うことに従ったのかよ」


長い沈黙。

重苦しい空気に耐えきれなくて俺は立ち上がった。


「クロ」


涼子が心配そうに俺を見上げている。

その目は以前まで俺と同じ目をしていたはずだった。