「なんで」


声が震える。

涼子はうつむき加減に言った。


「偶然見られたの」

「偶然だって?」

「ホテルに入るとこ写メ撮られた」


もはや言葉を失った。


「翌日斎藤に呼び出されて…」


そこで涼子は口を噤んだ。

俺は頭を抱える。

大体の予想はできていた。

俺と涼子が通う学校は県内でも有名な進学校で校則に厳しい。

ましてや教師と生徒がホテルで一夜を共にしたなんてことが知られたら退学は免れない。