骨壺は私の目の前で、暫くカタカタと小刻みに震えていたが…
やがて音がしなくなり、静かに止まった――
「ふ、封印…
封印出来たの?」
私は力の限り身体を起こすと、骨壺を見た。
骨壺の蓋に貼り付けた御札の文字が、青白く輝いていた……
これは、完全に封印されている状態だ!!
やった…
助かったんだ…
そう思った時、骨壺が自然に倒れ床を転がって行き、納骨堂の隅で立った。
そしてどこからともなく、地の底から響く様な呻き声が聞こえてきた――
「……こんな物、単なる一時凌ぎでしかあるまい…
私は常に、自惚れた人間共に、人知の及ばぬ圏外の存在を教え、触れぬ様に言い続けてきたが…
それでも人間は圏外を犯し、力を求める…
人間の欲望が尽きぬ限り、再び圏外の扉は開かれるのだ……」
その声が聞こえなくなると同時に、境内を覆っていた黒い霧が晴れていった。
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