き、来た――


「も、もう…
もう止めなさい!!」

朝倉さんは、止めに入った住職を容赦なくはね飛ばした!!

これはもう人間の心を失い呪術に縛られた、ただの怨霊だ。


しかし住職が地面に転がった瞬間、朝倉さんの表情が穏やかに変化した。

「早く…
早く逃げて……



…――逃がさないわよ。
今日は絶対に、逃がさないわよ!!」


2つの心が交錯して、言動が入り乱れている。


「一緒にいるより、別れてに逃げよう!!」

私達は境内を、3人バラバラに逃げた。



私は本堂の裏に逃げると、空いていた窓から静かに本堂の中に入った。

この方が、見付からないかも知れない…


境内では、智子の悲鳴が響き渡っていた!!

と、智子…


ほんの数分後、今度は順子の悲鳴が本堂の中まで響いた!!


順子――


境内は突然、自分の息遣いが聞こえる程、静かになった…



まさか――!!


.