「その呪怨の対象が、私達なんです!!」


その言葉に住職が動きを止め、そして悔いる様に呟いた。

「そう…ですか」



私達は今迄の経緯と、ここに来た理由を一通り説明した。

すると住職は天を仰ぎ、静かに話し始めた…


「やはり、あれはこの世にあってはならない術法の書でしたね…


旧密教の秘伝書を発見したのは、偶然だったんです。

20年前のある日、いつもの様に本堂を掃除していた時…
本尊の仏像の裏に、仕掛け扉がある事に気が付きました。

私が仏像を台座から下ろし、裏面を調べると旧密教の秘伝書が出てきたのです。


この寺はこの土地特有の宗教感から成る寺で、系列の本山がありません。

いつからここにあったのかも、由来も全く不明でした。


まさか旧密教の寺だったとは、正直私も驚きました…


伝え聞くところによると、旧密教の術式は非常に危険だという事でしたので、私は秘伝書を使用する事はありませんでした。

あの日までは…


.