「呪詛による怨霊は、日本の旧密教の法術でね…

自分が生きている間に、身体の一部を用い相手を呪う術式なの。


それにより、自分が生前怨みを果たし得なかった場合、自分の代わりに怨霊が怨みを果たすというもの。


秘術中の秘術で、その方法は今はもう伝わっていない。



と、いう内容の事が書いてあったけど…
誰かが、その術式を復活させたのでは――


そう考えると、左手が無かった事も、自分では止められないという事も納得がいくし……」



順子の話を聞きながら、私は正徳寺の事を思い出していた。

あの寺に行った時、何か違和感があったんだ。

住職は見た事も無い、黒い袈裟姿だったし、本堂の仏像はなぜか黒塗りだったし…



あ、そういえば――


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