すっかり夜が明けて明るくなった道を、私達は車で安曇野に向かっていた――
北山市と都野市の境にあった工事現場は、安曇野だった。
申し訳ないが母には、公共交通機関を利用して出勤してもらう事にして、私達3人はスコップを車に積み現場へと急いでいた。
「見えた!!
あれじゃないの?」
助手席の智子が、山を指差し声を上げた。
確かに聞いた通りだ、あれに間違いない。
あれ…?
順子がさっきから静かだけど、どうしたのだろう?
ルームミラーで後部座席を見ると、真剣な表情で何かを一生懸命読んでいた…
「あ、あそこ!!
あそこから入るんじゃない?」
「そうみたいね」
智子の言葉に軽く頷くと、左折して車を山道へと突っ込ませた――
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