私達は暗闇の中を、順子の自宅に急いだ。
何としても、この事件の全容を知らなければ…
これ以上、犠牲者を出す訳にはいかない。
私の自宅から順子の自宅までは、急げば15分程で到着する。
順子の自宅が見えてきた――
「ただいま…」
まだ誰も帰宅していないのか、返事は無い。
「小夜子、こっちよ!!」
私は順子に促されるまま、2階に上がった。
廊下にドアノブが転がっている。一体、何があったのだろう?
順子は倉庫と呼んでいた、階段からすぐの部屋に入った。
散乱する室内…
とても、尋常な雰囲気ではない。
「順子、これは一体…」
順子は棚に並ぶ書類を、引っ張り出しながら答えた。
「後で話すから、今はこっちの事に集中しよ!!」
順子は古いカルテを手にして、私の方に振り返った。
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