それは当たり前なんだけど、女の子の手で強く握ると折れてしまいそうだ。



「晴樹くんはあたしの名前知らないよね?話すの初めてだもんね」
彼女がからかうように俺の顔をのぞきこむ。
視線をあげると思ったより近くて、慌てて目をそらした。



「長谷川笑子だろ」
動揺してつい即答してしまう。
しまったと思った。
だって変じゃないか。
俺みたいなやつが話したこともないのに名前を知ってるなんて。



「なんで知ってるの?」
彼女は少し驚いたようだ。
まあ、それも仕方ないことだろう。