気付いたら、自然に音がこぼれ落ちていた。 「…〜〜♪」 そんな自分に戸惑って、けれど今さら止める気にもなれない。 最初は呟くように、しかしだんだんとその声は色を帯び、はっきりと主張しはじめる。 勝手に左手がギターの弦をおさえていることに気づき、俺は小さく笑った。 歌声が教室の中で反響し、その響きが心地よく歌声はさらに大きくなる。