「すごいよ、晴樹くんは。あたしだけじゃない。これからもっとたくさんの人を夢中にさせる」 あたしの目線を追って梨花が空を見上げるのが気配でわかった。 4つの目に見つめられ、それでも彼は悠々と飛び続ける。 「夢中にさせる、ねー」 梨花が疑わしそうな、もしくはどうでもよさそうな間延びした声をあげた。 ゆったりとした時間が二人の間に流れる。