「もしかして、田中に惚れてる?」



開けっぱなしの窓から低いゴーッとした音が教室になだれ込む。
窓の外を見ると遠くの空にヘリコプターが飛んでいた。
あんなに遠くにあるのにその空気の震える音ははっきりとここまで届いていて、また口元が緩むのを止められない。



「惚れてるよ」
あたしの返答は予想していなかったらしく梨花が目を見開いた。
でもそんな表情も一瞬で崩れ、梨花はおかしそうに目を細める。