「何にやけてんの?」
梨花がいぶかしげにあたしを見る。
先程から数学の課題に頭を悩ませていた彼女は苛立ちを隠さず乱暴に長い黒髪をかきあげた。




梨花のストレートの髪はキレイで憧れるけど、この季節ばかりはショートでよかったなと思う。




「ちょっと晴樹くんのこと思い出してねー」
あたしは頬ずえをついて、まだにやけながら晴樹くんの机を見つめる。
机の上も周りもキレイで晴樹くんらしいなとまた笑みが溢れた。