「そんなとこ立ってないで座りなよ」 そう言って彼女はアスファルト部分のあいている場所を指差す。 あいている場所と言ってもやはり汚れていて足で払ってみたがあまり効果はなかった。 俺は言われた通りにそこに座る。 すると彼女はギターを抱え直すと、まるでそこに俺がいないかのように歌い出した。 さきほど歌っていた曲とは雰囲気が一変して、ゆったりとした切ないバラードはこの茜色の空によく似合っている。