私のコトなんて、分かりきってる――
返す言葉が見つからず、俯いていると。
両肩に手を置かれて、スッと距離が開かれた。
「だからさ・・・
俺を本気で好きになるまで、それは言うなよ?」
「ハイ…、すみません」
ただ頷いて、謝罪しか出来なかった。
私を見下げて、ジッと捉えるその瞳が。
これからの人生を、どんどん暗くしていく・・・
すると再び、弧を描いて笑う後藤社長。
「その覚悟をして、蘭に結婚を申し込んだしね?
まっ、結婚までは急がせて貰うけど・・・
その為にも、早く東条君には報告しないとな――?」
そう言って、軽く舌をペロッと見せた。
「…っ、そうですね・・・」
社長の名前が出て、上手く笑うコトが出来ない。
どこまでも不器用な自分に、腹立たしくなる。
そして、後藤社長・・・・
私は貴方のコトが、一切信じられません。
ずっと続くハズだった道を、閉ざした原因だもの――