ホントはね・・・?
“変わらないまま”傍にいたかった。
抱かれるコトも、些細な幸せだったの。
でも、それはもうムリだから――
「そう、それは良かった」
紡ぎ出した返事に、口元を緩ませて席を立つと。
ギュッ――
私を引き寄せ、抱き締める後藤社長。
チガウ・・・
抱き締める腕の力も、しな垂れる胸の厚さも。
ホワイトムスクの香りも、何もかもが・・・
すべてが、拓海じゃナイ・・・
「蘭…、もう何も考えなくていい。
俺は絶対に、お前を裏切らない。
蘭だけを愛して、一生守るから・・・
いつか、好きだといって貰えるようにな?」
「…愛して・・ます・・」
「蘭・・・?」
「後藤社長が…好き・・です・・」
何も見出せない、未来なんてイラナイ。
幾らでも、偽りの言葉が生み出せるの。