もう希望なんて、捨てて来たハズなのに。



最後の最後で…、どこまでもズルイね――





「今日は良い返事だと、期待しているけどね?

それは連絡をくれた時点で、君の道は決まっていたから。

・・・そうだろ?」


「っ・・・」


電話ではなく、今は後藤社長と対峙している。




「俺が幸せにするから安心してよ、ね――?」


その口調と笑顔は、優しく見えるようでいて。


有無を言わせるような、隙は見つけられない。



「・・・・・」

目の当たりにすると、なおさら言えなくて。


震える手を、テーブルの下へサッと隠した。




「佐々木さん、どうかした?」

「い…、いえ・・・」


彼からの視線を逸らすと、社長の残像が浮かんだ。


大好きだった、拓海の笑顔と優しいトコロ。




だからね・・・・?




「君からの返事を、ハッキリと聞かせてくれる?」


「…ハイ、宜しく・・お願いいたし・・ます・・」




貴方を守るコトが、正解なのだと思う――