愛したヒトが、幸せになってくれるのなら。
愛したコトが、カタチとして証明出来るのなら。
それが私の生きる意味を、齎すハズなの・・・
「連絡くれて、すごく嬉しかったよ。」
「あの…、お話がありまして・・・」
震える手は自然に、ギュッと拳を作ってしまう。
「先日の電話の件、ですが――」
私が連絡をしたのは…、後藤社長――
そうして今は、レストランで食事をしている。
個室で2人きりのせいか、彼の眼光が鋭いからか。
それとも、決意に躊躇しているからなのか。
まともに彼の瞳を、見られない私・・・
「もちろん、その返事を期待して来たけど?」
「・・・っ」
彼の口角がキュッと上がる度、胸がギュッと痛む。
もう後藤社長は、すべてを見抜いている気がした。
「あの・・・」
残された道は、此処しかナイでしょう?
演技をするのは、慣れているハズでしょう?
なのに…、どうして言葉が出て来ないのよ・・・