“絶対に、待っててくれ――”

アメリカへと旅立った日の、彼の言葉。



“うん、頑張ってね?”

寂しさを堪えて笑顔で見送った、あの頃。




離れていた数年間、一度も泣かなかった。


どこかで、期待していたのかもしれない。




“待っててくれ”の言葉に、何かが変わる音がして。



だから 当時の私は、未来などナイと知らなかった。





アメリカと日本で、離れて過ごした時よりも。


近くにいる今の方が、離れてしまっているのに。




・・・どんなに願おうが、もう近づけないキョリ。





「・・っ・・っ・・」


勢いよく、ジャーっと流れるシャワー。


この音だけが、今の私を支えてくれる。




「・・っく・・っ・・」


人知れず泣くことが許される、僅かな時間・・・




こんなにも自分が、泣き虫だったなんて。



オトナになるまで、知らなかったよ――