私の理解能力では、本当のトコロなど見抜けなかったのね…。




「なぁ、蘭・・・

幼馴染みに戻る“ゲーム”でもしようか?」


「え・・・?」



秘書の仕事を始めたばかりのトキ、心を抉るような言葉を投げ掛けられた。




「ゲ…、ゲームって何でしょう…?」


拓海が発した意味不明な言葉に、もちろん反芻して尋ね返した私。





分からないコトだらけの秘書業務に、何とか慣れようと必死な毎日を送っていて。



そのトキは、社長室へと書類を届けに向かっただけだった。




幼馴染みじゃないと宣告された日に、貴方の召し使いになり下がったのだから。



せめて“秘書になりきろう”と、頭の中は一杯だったの。




そして膨らみ続けた想いを…、拓海をキライになろうと…、必死に足掻いていた。




楽しかった過去をも振り切ろうと、私なりにもがいていたのに・・・





「この状況を利用した方が、互いに良いだろう…?」


「・・・ッ」


すべてを砕くように笑い掛けてくる貴方を見て、もう泣きそうだった。