“社長室に来い――”
社長に告げられた命令だけが、頭の中を占領している中で。
秘書課で一時間ほど、スケジュール調整等の業務をこなした。
「それでは、お願い致します…」
「ハイハイ――」
秘書課のデスクで粗方のメドをつけて、ようやく席を立った。
先輩秘書に一声掛けても、いつも通り素っ気ない返事のみ…。
この態度の理由は、解っているの・・・
入社してすぐの私が、社長秘書に抜擢されたからだ。
ぺーぺーのクセに優遇されれば、疎ましいのも当然だよね?
だけれどそれ以上に、社長秘書になれなかった妬みこそが。
私が邪険に扱われている、一番の理由かもしれない。
入社前から、それなりに覚悟を決めていたけれど。
やっぱり、この会社には私の居場所など見つけられないままで。
社内の何処にも、気の休まる場所はナイ・・・