ドキンと甘く高鳴る鼓動と、チクンと疼く切ない鼓動。



この相反する感情の往来が、私に襲い掛かってくるの・・・





「社長…、それでは…」


伏目がちに一礼をして、そそくさと踵を返そうとした。




「蘭…、仕事のカタをつけたら社長室に来い」


「っ――」


壊れそうな鍵の為に逃げようとしても、グッと手繰り寄せられるの。





「いいな…?」


「っ…、ハ、イ・・・」


私に拒否権など与えないクセに、いつも念を押す社長。




パタン――

返事が届いたか判らない頃合いで、重厚な扉がキッチリ閉ざされた。




幾ら鍵を掛けていようが、貴方へ繋がる扉を自ら開けさせられる。



こうして私の切ない痛みが、今日もまた増えていく・・・




酷く残酷ながらも愛しい…、社長のせいで――