どうして立川さんが・・・
「此処で話を初めに戻しますが…。
その間の蘭の接触者を探れば、容易に貴方へと辿り着く事が出来たうえ。
立川がすべてを吐きましたよ…、貴方に命ぜられたと――」
「っ、チッ…、あのカスが!」
バンッ――
認めたと言わんばかりに、テーブルを強く叩く音が響いた。
「持ち出そうとしていた情報全てを、彼はこちらに差し戻した。
自白した立川には、情けで自己都合退職の形を取らせるが…。
蘭に手を出そうとした、貴方だけは許さない。
物的証拠が揃った今は、刑事告訴の準備を進めつつある・・・
これでもまだ、脅迫するおつもりですか――?」
「ッ――」
射るような眼光の鋭さに、思わずゴクンと喉を鳴らしてしまう。
「ふざけるなっ――!」
後藤社長が怒り任せに立ち上がった、その瞬間。
バンッ――
喧騒を切り裂くように、社長室の扉がけたたましく開かれた。
「もうお止め下さい――!」
「っ――!!」
そう言って後藤社長を宥める人に、私は眼を見張った。