だけれどまったく怯むコトがなく、この状況でも冷静な拓海。
「明るみに出た理由には…、お気づきでは無いのですね。
貴方が蘭に近づいたせいだというのに――」
「っ・・・」
驚きを抑えていたものの、その言葉にビクッと反応してしまう。
私に近づいたせい・・・?
チラリと視線を拓海に向けると、訝しげな表情が窺えた。
「貴方に会ってからの蘭は突然、“婚約者”と口にするようになった。
人づてに聞いたと言って、誰から齎されたのかは言わなかったが…。
誰にも漏れる訳の無い極秘事項が、どうして明るみに出るのでしょう?」
トップシークレット・・・?
私は我慢出来ず、身体ごと拓海の方へと向き直ってしまう。
「ハッ、現にこちらに伝わっているというのに…。
それの何処が、トップシークレットだと言う?」
「フッ…、やっぱり貴方でしたか――」
後藤社長の言葉を受けて、ニヤリと一笑した拓海。