貴方の考えも読めないクセに、横槍を刺してしまうなんて。
エンジン音がやけに響くほどの沈黙が、虚しさを募らせて鼓動を早めた。
私たちを乗せたフェラーリの行き着く先は、何処なのかな…――
「…蘭・・・」
「ん・・・?」
ユサユサと肩を揺すられて、重い瞼をゆっくり開いた。
「着いたぞ・・・」
開眼した先に捉えたモノは、クリアなブラウンの瞳の拓海で。
「えっ・・・、あ、申し訳ございません!」
寝ぼけ眼の状態から、慌ててシートベルトを外そうとした。
「別に…、いいから慌てるな」
「申し訳ございません…」
再び謝罪をすると、ようやくシートベルトから解放されたけれど。
呆れられていても仕方がナイ失態を、朝から晒してしまった。
どうやら私はあれから、そのまま眠りに落ちていたらしい。
ここ3日間、まともに眠れなかったせいだと思うけれど。
社長に運転をさせながら、秘書のクセに最低だね・・・