暗礁に乗り上げたように、すべてが真っ暗闇に包まれていて。
一番縋りつきたい眼前の貴方には、頼る事など出来ないから。
神様…、私はどうすれば良いのでしょう・・・
信仰心など皆無なクセに、都合の良すぎる不埒なお尋ねだね?
だけれど、もう頼れるモノなど何も残されてイナイ――
軽快なエンジン音を轟かせて、颯爽と走り去ったポルシェ。
残されたのは戦慄に慄く私と、引き寄せる拓海の2人だけ――
拓海の広い胸の中に包まれながらも、不安は募るばかりだった。
解っているよな――?
私の未来などナイと告げる、遠回しで酷な物言いが木霊する。
理解しているからこそ、これ程苦しいの・・・
「蘭・・・」
「ッ・・・」
それでも耳を弄るような呼び声に、反応するとは愚かだね。
どうしてこんなにも、拓海を求めるの・・・?
だけれど、影の優しさ触れて、籠の中で生きる安心感を知ってしまって。
巣立ったあとでソレに気づいた今は、現実が余計に辛い・・・